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OP.1
、、、、、、、、、、、味の濃いコーヒーをすすりながら何かの気配に窓の外を眺める、眼鏡を外したボンヤリとした視界の中に何か異変を捕らえる。
いやまだ捕らえていない、目には捕らえているのだが脳が反応していないのだ。
あれは何だ?
と、突然訪問客を知らせる電子音が私を慌てさせる。インターホンのボタンを押し「はい」と応えると男性の声で「ウサギですが、お荷物です」と言うのでオートロックを開け印鑑を右手に持ち自室のドアを半開きにして「宅急便か?」と考えながら待つこと1分。
なるほどウサギがエレベーターから出現した。
長い二つの耳、白い毛、荷物を持った丸っこい手、確かにウサギである。ただ顔は初老の男性で甲高い声で「サインで結構です」と言った。荷物を受け取り「ご苦労様」と小さく声をかけると生暖かい獣の匂いが顔を撫でた。ウサギが向きを変えていた。
特徴的な尻尾がエレベーターの扉に挟まれそうになるのを巧くかわして姿を消した。
さて何所からの荷物であろうか?
箱のイラストが不気味に笑っている。
既に異変は身近に迫っているようだ。、、、、、、、、、、、、
これでノーベル文学賞はかたい?